沖に出た日、下灘の漁港に取材に行くと、
「魚持っていねや〜!!」「魚いるか〜!」「元気しとるか〜!」
とあちこちから気さくに声をかけてくれるような、
人当たりのいい性格が特徴の下灘のイケメン漁師。
ついつい会いにいきたくなってしまう中毒性があります。
せっせと汗を流しながら、魚を船から水揚げする漁師さんたち。
船の生簀に活かしている鯛を網ですくって、不安定なはしごをわたり、階段を上がって、海水と酸素を調節した生簀に移す。それを、何十往復もするのです。
船が帰ると、一家総出で水揚げや魚の選別を手伝います。
鱧は船の上で、大きさごとに分けられ、カゴに入れて入札の直前まで海に沈めておきます。
遠い海からとってきた貴重な魚は、その鮮度や活かし具合など魚の状態をシビアに見られ、仲買によって値段がつけられます。少しでも良質なものを競りに出すために、漁師たちの目は真剣そのもの。
全盛期には200人ほどいた漁師も今では半数以下に減り、後継者も減少している課題は全国共通。
しかし、下灘は鱧の漁獲高が全国トップクラスで、単価も県内有数を誇るため、まだまだ漁師に憧れる子供は多く、若手の漁師もいます。下灘漁協青年部には現在、26〜45歳の漁師が13名が所属しています。
普段はおちゃらけていて、悪ふざけや下ネタをよく言う若い漁師たち。
沖に出れるような穏やかな天候の日は1年の半分ほどですが、
仕事の日は深夜0時ごろから4時間以上かけて
鱧に恵まれた漁場へ行き、何度も何度も網を上げます。
昼すぎに帰港して、魚を管理、15時から競り市を行い、仕事が終わるのは夜。
18時間ほども過酷な体力仕事を行うその仕事量には想像もできないキツさがあります。
命賭けで戦う海の男。オンとオフのギャップがとってもかっこいい、「下灘のイケメン漁師」なのです。