STORY
海岸通りの国道378号を逸れ、
単線の踏切を
越えると、
道は急に勾配を増し、
車はくねくねと森を這うように登っていく。
目指すは、高台にあるみかん畑。
眼下には、凪いだ海が広がっている。
「傾斜がきつうて、そりゃしんどいわい。
ご先祖さんはなんで段々畑に
せんかったんやって
いつも思う」
まるで崖のような傾斜地にある
双海のみかん畑は、
太陽が水平線に没するまで
陽の光を浴び続ける。
“しずむ夕日が立ちどまる町”
ならではの恩恵だ。
みかんが最盛期を迎える秋から冬になると、
風は強くなり、気温はぐんぐん下がる。
「手がかじかんで動かんけんど、
これがみかんにはええんよ。
わしらは手袋して我慢すればええこと」
みかんは海から流れてくる風に
ミネラルをもらい、
昼は太陽をたっぷり浴び、
夜は星空の下でぐっすり眠る。
「コツ? じいちゃんや親父に教わりながら
勉強しもって続けただけや。
ただ、自信はある。
わしのみかんは日本一じゃ」
明治から代々受け継ぐ農家は、大きく笑った。
そんな農家たちの誇り、
双海のプライドを守りたい。
「Coucher du soleil(クシュドゥソレイユ)」
の開発は、
そんな想いからはじまりました。